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IbaraHistory
[Side:Sun][Side:Moon]
《Side:Moon》
●月▲日

憎い 許せない 許さない

皆消えろ、苦しんでぐちゃぐちゃになればいい


こんな感情も浅はかだとか視野が狭いだとかお前の自業自得だとか
仕方ないだとかそういうものだとか当然だとかそんな風に片付けられる。
片付けろと言われる。それが正しいことでそうしろと言われる。
大変だったねとか辛かったねとか苦しかったねとか可哀相だとかそんな風に言われる

憎い、ぐちゃぐちゃにしたい、めちゃくちゃになってしまえ

そういわれてしまうものなんだ、嫌でもそう言ってくるんだと言われても
嫌いだし不快なことに変わりはない。我慢なんてしたくないしできてたまるものか
仕方ないだとかそういうものだとか当然だとか浅はかだとか視野が狭いだとか
自業自得だとか大変だとか辛いなとか苦しいなとか可哀相だとかそれにもそのように
僕のこと腫物扱いして、面倒な奴だと認識して、でもそうでない奴も嫌。

じゃあ何だったら嫌じゃないのかというなれば嫌じゃなければ嫌じゃないとしか言いようがない

行動による というより 人による
好きな人なら何をされても何を望んでも肯定できてしまう性質
僕の憎しむ、他人を否定する側面という
僕の失いたくない奪われたくない僕を僕たらしめる側面を脅かしうるその厄介な性質。

"それなら皆を好きになればいい"と導かれること それが何より恐ろしい
誰も好きになんてなりたくない。 けれど好きになったものやことを失うのは嫌だ
持ちたくはないが持った以上は捨てたくない。

僕のこの性質がばれたら。先程の様に僕を淘汰しようとしてくる可能性が考えられて
けれどもどちらを失ってももう僕ではない。

……前、ある人に羨ましさを感じたと言うこと
無条件に認めてよくて愛してよい人が欲しい 無条件に認めて愛してくれる人が欲しい
そして自分が完成されているように思えると言うこと。
前者は確かに僕が持っている願望といえるといえばそうで。
けれど考えればある人にそれをあてはめはしなかった。
後者は確かに考えた。僕にはこれはできない、劣っているんだ。
僕も欲しい、完璧になりたい 現代科学医学などで"近い事"は可能だろうとしても
──義手を付けても違う その通りで100%自然に任せることはできないから結局劣っている。
──親になるのに性別は関係ない? 違う。 僕がなりたいのは父親ではない、母親だ。
僕のことをお母さんと呼んでほしい、僕のことをママと呼んでほしい
男なのに変だって思われるだろうな 僕はこんな格好をしているけれど、
この姿を気に入っていて、変わりたくないから保ちたくて
健康を損なうだろうことすらしているけど身も心も男であるには違いないんだから。
僕は女の子ではないもの。身も心も。だから間違いなくそう。

けれど僕は新たな命をこの世におとす ということには良い意を持てない。持ちたくない。
生まれたから幸せを得られる 生きることの幸せ、命をつなぐことの幸せ
生物としての本懐よりもそんなことを謳うものはいて。
けれども生まれてしまったら不幸が生まれる 生きる不幸 命をつながれる不幸
そのようなものは当人が決めるとしても 幸せにするとかそんなの、できる保証もないのに。
出来ない保証もなくてもできる保証がない時点で一つの命を落とすなどと重いことをする。
僕からするとそれは恐ろしいとも思うから。そう……母親というものは何よりも残酷だ。
生んでしまえるんだから。それをある程度選ぶことすらできるのだから。
生まれてしまったら命は生きることを考える、死ぬことを考える
幸福を考える、不幸を考える。……生まれた時点で手遅れ。
不幸が生まれないことの方が僕は大切だと思えて、
だが無垢なる命に生まれた時点で手遅れと言うのはこう植えない否定で冒涜で
可哀相という、僕の言われて嫌な……思われて嫌な事と変わりがない。
しかし憐れみと恐ろしさのようなものばかりが湧く。それしかない。

幸、不幸。幸せであることが良い事で不幸であることは良くないこと
他人の不幸を望むことが良くないことで、他人の幸せを望むことが良いこと。
他人の不幸を望むのも他人の幸せを望むのもそれが望む側の幸せに変わりない。
僕は幸せである必要はないと思うが、それと言うのも不幸をふこうと思わなくなったら不幸で
不幸をふこうと思えることもひとつの……広義の意味での幸せだと思っているから。
……幸福論として認識を変えることと言うのがあるだろうが
僕にとってそれは幸せではないから、そうなりたくないから。
不幸であることや苦痛を感じることが精神と体を弱らせるとしても
僕はあるはずの、あったはずのそれらを無い事にはしたくないから。
そう。かの百物語の話にあった美味しくないというものを無理やりに美味しいと感じるように
電極を脳に差し込むようなそんなことは嫌だ。美味しくないと思える方が幸福だ。

……そういうだけで、僕が嫌だと、不幸だと感じることをされたいというわけではない。

生まれなければあるはずもあったはずも最初からない。
感じる者が最初からないのだから。 ああでもないこととなくなったことは
考え方によっては同義だから結局それはないことにしていると同義ともいえるわけで。

ただそれらを僕が嫌だ、怖いと感じて……
それがなくなったものをも僕とするならば 僕である必要がないじゃないか
どう変わっても僕ならば、僕である必要がない。
人間やあらゆる生命のそれを、種や環境と言う一つの体の代謝される細胞とするような
僕と言う存在は多くの髪の中から抜け落ちる、落ちたことも気づかない一本
僕からすればそんな風に言われているのと同じで、そういうことと同義で
だとしたらあまりにも救いがなさ過ぎて
失いたくない、奪われたくない。持っているから失う、奪われるとしても

けれども、どんなに手や知恵を尽くしても、完璧に思い通りにできないから足踏みする
その上でそれを考えずにその時のまま動く?
何をしたってしなくても後悔するし失敗すると言えばそうなのだから

僕のそれらは独り善がりだとかわがままだとか幼稚だとかそんな風に吐き捨てられるもので。

それは僕一人以外の僕の大切な人へも僕の様に悪印象を持たれるきっかけを与えるだとか
お母さんになりたいと言うことならば、子供をも不幸になる切欠を生むだとか
大切なものを不幸にしないためにも独り善がりをやめて大人になれだとか
独り善がりで幼稚であることで他人は相応の仕打ちをしてきて当然なのだから
自分だけを大切にすることはまわりまわって自分を大切にしないことだとか

されたくないならされないように独り善がり、我儘、幼稚な思考をやめろ なんて
それは結局そんなの、相してくる奴らはその程度と言うだけのことで。
そういう奴らを顕わにさせてふるいにかけて、
そもそも独り善がりでない人間なんて突き詰めればいないし
大人だ、子供だ、幼稚だというレッテルも馬鹿げている……

《お前が相ならお前に対してもお前のように他人は接する》というそれ
行動次第で僕への評価を変える人間はいらない。
それに行動次第で相手を好きになることも恐らくない。
僕のことを腫物扱いしない人間でも僕が嫌と思ったら嫌。
相手がどうだろうと嫌いな人は嫌い。
彼にされたようなことでも別の人間にされたら僕は激怒していただろう。
……正直自分が心を許してしまいそうになる基準が分からない。
ただ優しくされても嫌だし、自己分析不足。 というか多分まあそれってまあ
……変わってもまた気に入るもの見つかる ああそんなこと言われたな
そんなに僕ってそんなに気安いタイプだと思われるような程なのか?
誰でもかれでも好きにはなりたくない! これだけ心を閉ざしてもまだ足りないのか?
周りにちやほやされるのも嫌だし。ああ、僕に関与しない関与しなくていい上なら
僕が何か返したり与えなくてしないで良い上なら、僕が本当にためになると思えることを僕にするのならば
そのくらいは許してやってもいいかな。ああでも偽善者は嫌い。裏切る奴も嫌い。

僕は僕が好きだと思える人のことならなんだって許すし許したいんだ。
好きだと思える人にとって都合のいい存在でいたいんだ。
それ以外にとっての都合のために僕を犠牲にしたくはないし許したくもない。
好きだと思える人の者なら嫌悪ですら認めるし、死ねと言われたら死ぬ。
殺せと言われたら殺す。その人が幸せになれるなら、いい気分になれるなら。
……或いは嫌な気分にならないなら、不幸を脱せるなら。
その人が、為になったと本当に思えるのなら。
為にならない、ならなかったと思わない事なら……
僕の為にもそうしたい。 なるべくそうできるように、失わないように。
大切なもの、好きだと思える人はなるべく増やしたくない。

僕は独り善がりで我儘で幼稚なまま生き続けるよ。
僕からすればそのような表現は否定するところだけれど。

あとはそうだな、心配されるのが嫌と言うこと。
あの人は自分にはそのような価値はないから辛いと言っていた? 多分そっちだと思う。
しかし心配は善意から出るものだから否定したいとは思わないと言っていた。

僕の場合は全くの真逆。 惨めな気持ちになるしうっとおしい、うざったい。

それになにより 僕のことが心配 この心配って結局脅威ってことじゃない?
善意っていうのはつまり正義の淘汰思考っていう意味だよね?
心配という名のある種の脅威への淘汰思考。 でそれを尊重するべきだとか。
僕が嫌な事は嫌なんだけど。 悪意以上の悪意なんだよほんと。
僕の在り方をそんな風に そっちが価値がない みたいに見下してる。
僕は心配をされることによって お前には価値がない、信用できない と言われている気持ちになる。
ああでもあの心配になった というのは恐らくそっちなんだろう
最初からそもそも僕のことを腫物扱いしてたようにどうしても思えてならない
でもそれも当然っていうのかな? 陰気で、びくびくしたかと思えばきっと訳の分からないと思われるような弁回しをする
そんな僕は都合が悪い存在で信用ならなくて脅威で、何をするか気が気でない。
そういうことなんだろうね。 ずっとずっと昔から知ってる、言われ続けてきた。だから大っ嫌いだ。

……心配されるのが幸せなことだとかありがたいことだとか。
それでいて心配はかけてはダメだとかそういうの、本当にクソくらえばいいのに。
僕の嫌な事は僕にとっては悪なんだよ。善意以上の悪意なんてものは存在しない。
善意だとか善だとか、そういうものを掲げることで正当性を主張するんだから。
さも正しいことだと、それを認めないことや否定することを悪しきことだと
そんな風にして、周りに認めさせる圧力があるんだから。

共感とかいうやつもそう。 辛かったねとか大変だったねとかそういうやつだよ。 
あと楽しんでくれているかとかとかそういうのもそうだ

何? そう思わないといけないの そうじゃないといけないのって。
理解した気になるなよって。そんな風な振舞いするなよって。
いやそれってバカにして揶揄ってる感じもあるし他人にそのことをどうこう言われると腹が立つ。
本当にそういうのって腹が立つ。
別に辛くないけど、大変じゃないけどって言いたくなる。 突っぱねたくなる。
まあこれに関しては。スクールカウンセラーとの会話。
あの人は共感めいた感じの会話を良くしていたけど
気に障る話され方とそこまででない話され方があるっぽいな。
差し詰め流石プロといったところか。

好かれたくないし好きになりたくない 多くの人と仲良くしたくない
受けたことの恨みを永遠に持ち続けて許したくない。

まあ僕みたいなのって。 そうしたいのに、そうしようと努力してもそうできない。
そういう人からは特段強く酷く睨まれるんだろうな。
幻聴幻覚聴覚過敏、それだって。僕みたいなのはきっと仮病と責め立てられる。
みんなみんな、僕を嘘吐きだと罵声を浴びせるだろう。
被害者面するな、加害者はお前の方だと。

あなた次第といったあの人。 理不尽に傷つくことから守るだとか言った。
そもそも守るためにだなんて言い切っておこがましいとは思わないのか?
守れるだなんて思ってるのか?
あの偽善者だって同情したような言葉をかけるばかりで、何ひとつ僕を助けも守りもしなかった。
あれはそうしようとしていたとしても僕からすればそうだ。

そもそも多くを守るのならば、その多くにとって理不尽な加害者ならば
僕のことはそれらを守るために切り捨てるはずだ。
それが見えている。見え過ぎている、あまりにも。 決め付けというならばそれで結構。

そもそもその理不尽ってどこから?
僕の顔に傷をつけて、御日と違うようにした奴を犯人だと指さした僕を
嘘吐きだと異常者だと 前からずっと嘘つきだと言ってきた奴らからすれば
僕が理不尽な加害者だから正当防衛としてそういった行為を
僕が受けた仕打ちは僕の因果応報の自業自得だと。すべての不幸は因果応報の自業自得だと
あの曲も僕が悪いんだと 僕に死ねという 僕にはそうとしか聞こえない

ふざけるな みんな死ねばいいのに
そういうと『お前こそふざけるな』って奴らはいうんだろうな

21:12  なんでこんなののまなきゃならないんだ 全部お前らのせいだ



『そういえばあそこのうちの双子ちゃん、ほら顔のそっくりな男の子と女の子の

 女の子のほうはつっけんどんで……かと思えば
 男の子のほうは人懐こいというか愛想豊かというか……
 人攫いにでもついてっちゃうんじゃないかってくらいって感じで心配よねえ』

『あそこお母さんが一人親で大変でしょうけど
 しっかりしてるっぽいからそのあたりちゃんと言い聞かせられてるでしょ』

『そうなんでしょうけど…… あの子たちも変といえば変だけど
 あのお母さんもその子たちのそれを異様に矯正しようとしてる感じしない?』

『……そりゃあ悪目立ちしたら虐められたりするでしょうから
 子供の為なんじゃあない? 私見ちゃったもの。
 あの子たち、公園のトイレで上の服交換こしてるのよ……

 女の子のほうは女の子らしくするのが嫌みたいだし、多分女の子扱いされるのも
 男の子のほうも男の子らしくするのが嫌みたいというか、趣味が女の子っぽいし
 ……こっちは普通に扱われて平気みたいだけど』

『そういえばそうそう、この間下校時刻? 男の子のほう泣いてて
 女の子の方が慰めてたの見たんだけど……』

『ああ、それ私も何度かそういうの見てる やっぱりあの子ら虐められてるよねぇ
 当然っていうか そりゃああれじゃあ仕方ないっていうか……
 まあ、女の子の方は気が強そうだしこの間なんて
 よその子はったおしてたからそういう面では心配無さそうだけど、
 ……いやあ、そりゃあ逆にそれが心配っていえばそうだけど
 男の子のほうはちょっとそうじゃないからねぇ……』

『あんなニコニコして嬉しそうにいつも話してるようなあの子の性格的にねぇ……
 手を上げる側からすればそのニコニコしてて嬉しそうにべたべたされるのが
 多分気持ち悪いってのもあるんでしょうねぇ…… あの子酷い虚言癖もあるというか
 変な事言うことも多いですし…… 不思議ちゃんなんて言うならまだ可愛い方ねぇ』

『狼少年の域になればそれは迷惑というかお騒がせというか……
 悪気がなくても実害がでてるといえばそうなんだろうし』

『不快ってのはどうしてもあるんでしょうねえ 同級生の子とかからしたら
 ちょっと大人の私が遠目から見ても あ~、この子ちょっと変って思って気になるし
 心配になるというかハラハラするし……気が休まらないわぁ……』

『あの子たちのお母さんも大変ねぇ…… 変な子をもっちゃって』


──会話するおばさんたちの声が聞こえた。



心配だ、心配だ とひそひそと腫物を睨むように、嘲笑うように繰り返していた
危険な存在だから気を付けなくてはと 自分を淘汰しようと心配という名の目を光らせていた
アハハハハハ と嘲笑う談笑が聞こえる  うるさい ああなんてうるさくて気持ち悪い音なんだ