《Side:Sun》
4/11日。3-4の生徒皆で花見に行って……帰ってきた日。
御月がひどく震えていた。
警戒するべきことは先日のことだ。
御日を狙ってきたもの共が御月にも危害を加えんとしたのではと危惧するほかなかった
この双子はとてもよく似ているため、明確に区別が付くものがどれほどいるかなんてわからない。
……運の悪いことにちょうど今日という日に
とある植物園の開園の記念に園内カフェで引き換えできる無料クーポンが手に入っていたため
二人で行こうと話していたのに。そこを狙われたのだろうか……ということが御日の頭によぎる
《Side:Moon》
歌舞伎に出てきそうな狐面のような怪人が現れ、
それによって撒かれた黒い霧によって過去の絶望や今と未来の恐怖を見せられただなど。
沢山の、同じように来たものたちが泣き、喚き、叫び、阿鼻叫喚の地獄にさらされただなど
そして謎の慈善団体だろうかが救助にきたなどと。
そんなこと言ったって仕方がなかった。
もし報道でそのようなことを目にすれば聞かれるのかもしれないが、
そんなこと言ってどうになる。
御日はその怪人を過去御月に消えない傷を負わせた相手の様になぶり倒そうとするのか……?
それは御月に酷いことをし、のうのうとして何も咎めもなかった相手に御日が私刑を下したことは
御月にとっては御日が絶対的な味方でいてくれたということでもあり、とてもとてもとても嬉しかったが
今回ばかりは訳が違う。手の届く場所にいるわけでもなし、あれに。
仮に一般人であり異能も分かりやすく戦闘向けでもない御日が見つけて殴りかかりに行ったとして。
返り討ちに合う……御月にはそのように予想がついたものであったし何よりも……
何より怖かったのはそんな恐怖の中御日がいない中
……御日が自分を庇ったかで車に轢かれて死ぬ幻を見てしまったことだったのだから
それがそんな形で現実になられたら、支えを失ったら、もう生きてなんていけない
気になっていた催し。御日は化粧品が苦手ではあるが
それでもイノカクには興味があるとの話を聞いていたから
御月自身とは違う意味でこの催し自体には全く興味がないというわけもないだろうと
とがったーのその宣伝とがーとを携帯端末で表示し、見せる。
御月の予想の通りの答えだが、我儘を言えば今はきっと間違いなく聞いてもらえる。
《Side:Hazama》
きっと自分がここにいるのだから御月もここにいるのだ。
もう一人、連絡つかずらしい知人はともかくとしてそれだけは強く思う……
それは、双子の今の関係を崩しうる
御月に、"御日"が不要になる日が訪れうる
双子が"別離"する日が訪れうる
別離するべき、それぞれ違う道を歩むべき
『お互い結婚して家庭を設けて』……
母のそのようなかつての言葉に従うのと同じことを起こしうる
4/11日。3-4の生徒皆で花見に行って……帰ってきた日。
御月がひどく震えていた。
黒須御月
「ミカ……なんで僕を一人にしたの。どうして、
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして……!!」
「ミカ……なんで僕を一人にしたの。どうして、
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして……!!」
黒須御日
「落ち着け……!! 何があった……! 話してみろ……!!」
「落ち着け……!! 何があった……! 話してみろ……!!」
警戒するべきことは先日のことだ。
御日を狙ってきたもの共が御月にも危害を加えんとしたのではと危惧するほかなかった
この双子はとてもよく似ているため、明確に区別が付くものがどれほどいるかなんてわからない。
……運の悪いことにちょうど今日という日に
とある植物園の開園の記念に園内カフェで引き換えできる無料クーポンが手に入っていたため
二人で行こうと話していたのに。そこを狙われたのだろうか……ということが御日の頭によぎる
《Side:Moon》
黒須御月
「……なんて説明すればいいのかわからない。
きっと信じてくれないだろうし、僕自身も現実的な言葉でどう説明すればいいのか分からない
それに、口にするのが……とても恐ろしい」
「……なんて説明すればいいのかわからない。
きっと信じてくれないだろうし、僕自身も現実的な言葉でどう説明すればいいのか分からない
それに、口にするのが……とても恐ろしい」
歌舞伎に出てきそうな狐面のような怪人が現れ、
それによって撒かれた黒い霧によって過去の絶望や今と未来の恐怖を見せられただなど。
沢山の、同じように来たものたちが泣き、喚き、叫び、阿鼻叫喚の地獄にさらされただなど
そして謎の慈善団体だろうかが救助にきたなどと。
そんなこと言ったって仕方がなかった。
もし報道でそのようなことを目にすれば聞かれるのかもしれないが、
そんなこと言ってどうになる。
御日はその怪人を過去御月に消えない傷を負わせた相手の様になぶり倒そうとするのか……?
それは御月に酷いことをし、のうのうとして何も咎めもなかった相手に御日が私刑を下したことは
御月にとっては御日が絶対的な味方でいてくれたということでもあり、とてもとてもとても嬉しかったが
今回ばかりは訳が違う。手の届く場所にいるわけでもなし、あれに。
仮に一般人であり異能も分かりやすく戦闘向けでもない御日が見つけて殴りかかりに行ったとして。
返り討ちに合う……御月にはそのように予想がついたものであったし何よりも……
何より怖かったのはそんな恐怖の中御日がいない中
……御日が自分を庇ったかで車に轢かれて死ぬ幻を見てしまったことだったのだから
それがそんな形で現実になられたら、支えを失ったら、もう生きてなんていけない
黒須御月
「ねぇミカ……僕、ミカが僕を一人きりにして花見になんて行ったことは恨まないよ
でもその代わり、一緒にここに行こう?
化粧品メーカーがスポンサーとして参戦しててブースも出してる。」
「ねぇミカ……僕、ミカが僕を一人きりにして花見になんて行ったことは恨まないよ
でもその代わり、一緒にここに行こう?
化粧品メーカーがスポンサーとして参戦しててブースも出してる。」
気になっていた催し。御日は化粧品が苦手ではあるが
それでもイノカクには興味があるとの話を聞いていたから
御月自身とは違う意味でこの催し自体には全く興味がないというわけもないだろうと
とがったーのその宣伝とがーとを携帯端末で表示し、見せる。
黒須御日
「企業連合と星十字の交流戦イベントだぁ?
いや、ちょーどイノカクとか曲の参考にならねーかって
見学しよーとしてなぁなぁになってたし
まーミカさんとしてはそういうのアリだと思うけど
……化粧品ブース、一緒に行かなきゃダメ?」
「企業連合と星十字の交流戦イベントだぁ?
いや、ちょーどイノカクとか曲の参考にならねーかって
見学しよーとしてなぁなぁになってたし
まーミカさんとしてはそういうのアリだと思うけど
……化粧品ブース、一緒に行かなきゃダメ?」
御月の予想の通りの答えだが、我儘を言えば今はきっと間違いなく聞いてもらえる。
黒須御月
「だめ。 できるだけ一緒にいて。 もう嫌だから、今日みたいなの……」
「だめ。 できるだけ一緒にいて。 もう嫌だから、今日みたいなの……」
《Side:Hazama》
黒須御日
「あんなに一人を嫌がってたのにな……
早く……見つけ出してやらねェと……」
「あんなに一人を嫌がってたのにな……
早く……見つけ出してやらねェと……」
きっと自分がここにいるのだから御月もここにいるのだ。
もう一人、連絡つかずらしい知人はともかくとしてそれだけは強く思う……
黒須御日
「きっとこういう時。
あたし以外にそばにいてくれるヤツが御月には必要だったんだろうな
……あたしがいなくてもあいつが安心できるやつが」
「きっとこういう時。
あたし以外にそばにいてくれるヤツが御月には必要だったんだろうな
……あたしがいなくてもあいつが安心できるやつが」
黒須御日
「……そんなやつ、いるわけねーじゃん」
「……そんなやつ、いるわけねーじゃん」
それは、双子の今の関係を崩しうる
御月に、"御日"が不要になる日が訪れうる
双子が"別離"する日が訪れうる
別離するべき、それぞれ違う道を歩むべき
『お互い結婚して家庭を設けて』……
母のそのようなかつての言葉に従うのと同じことを起こしうる